空飛ぶ監獄椅子

1. 空へ

鹿児島は南国です。いいところです。

遅ればせながらの夏期休暇を9月の末にとって、相方と生まれたばかりの子供に会いに、その南国へ向かったのでした。
おむつかえたり(定番)、鯛釣ったりとあっという間に時間が過ぎ、遂に最終日。明日からは仕事です。気が進まぬまま、チェックインを済ますことにしました。まだ時間は結構あります。

機械:座席指定できません。

出発予定:機材の到着が遅れているため遅延します。

おや?今日は早くから込んでいるようです。休み明けということもあり、同じような境遇の方も多いのかもしれません。実際、あたりを見回せば、家族連れや華やかな雰囲気の行楽帰りの人があちらこちらで持ち帰る手土産を求め、店舗を廻っています。

よく考えると手持ちがぎりぎり奈良へ帰り着く程度の私は、定番の「芋きんつば」を生まれて初めて購入する事を断念し(大げさ)せめて、と1個100円台のさつま揚げ単品をかじらんと列に並びます。前には中年の女性。

「あ、ケースの奴、全部ね」

があ〜〜〜〜〜〜ん。20個くらい残ってた奴、全部買い占められた。

この辺りから、雲行きはあやしいのですが前途に苦難が待ち受けていようとはまだ純朴な私は知る由もありません。

さて、安全検査を無事通過し、搭乗口前へ。

・・・

・・・

なにやら隣の搭乗口付近の一角が盛り上がっています。

お祭り好きの私としては、注目せざるを得ません。

ん?

盛り上がっているのは一名です。40歳位の男性。
携帯電話になんか叫んでいます。

あぶらでしっかりと固められたオールバックの髪型。
黒いジャンバー。
黒の細いジーンズ。
首やら手やらベルトやら、金属製アクセサリー。

で、泥酔気味です。

ところで、この泥酔の「泥」は、中国の伝説の動物で、南海にすみ、骨がなくぐにゃぐにゃとしたものとされています。子供の頃は、街角で埃まみれになって倒れているおじさんのことかと思いました。

ああ、こんな人の横だったら嫌だろうなあ、と思いつつ、トイレに向かいます。

戻ると、搭乗口は客で列をなしています。指定なのだから別に並ばなくても、と思いますが、手荷物のある人や子供のいる人には大切かもしれません。

列の最後尾には、先程の男性が。仕方なくその後ろへ。

いよいよ飛行機の入り口に進みます。着席を待ちつつ進むので、歩みはゆっくりになります。そこで男性は何を考えたのか窓という窓の外のチェックを行い、最後に飛行機と搭乗口のつなぎ目を数回叩いて乗り込みました。

おいおい;

さて、新聞を取って、席に座ります。

となりは・・・となりは・・・。

例の方です。

あまりのお決まり的TVドラマのような展開に、ちょっとおいしさを感じつつ、着席します。
ちなみに、私は3列シートの中央、窓側はおばあさんです。

いつもは手荷物は足元ですが、今日は別に取り出すものもないので、上に収納します。

席の前は同じ位の年の若い夫婦とお子様2名です。おねえちゃんは4歳位、おとうと君は1歳くらいかな。
かわいいですねえ。私、元から子供好きですが、子供が生まれてからは更にそう思います。

台地の上にある鹿児島溝辺空港を飛行機は難無く東を目指して飛び立ったのでありました。

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